2006年11月14日(火)19:28

メルケル首相は「EU憲法」の重要性を強調

ルクセンブルク(AP)

ドイツのアンゲラ・メルケル首相は欧州連合の将来をめぐる議論で、「憲法条約」という言葉にあくまでも固執する考えを表明した。「欧州には数多くの条約があるが、このEUが成功するのは、自らが何から生まれたという過程をあらためて顧みる場合に限られる。EUの基になっているのは共通の価値観なのだ」と首相は火曜日ルクセンブルクで語った。メルケル首相は同地でエトモント・イスラエル財団の「欧州のヴィジョン」賞の表彰を受けた。

またメルケル首相はEU諸機構の仕事の方法を重要な一点で変えるよう主張した。首相は、国政レベルと同様にEUの法案の有効期間も任期と結びつけるべきである。EUではこれまで別の方法であった、と述べた。「欧州議会は改選され、欧州委員会の構成も変わる。しかしガイドラインは存続するのである」。これにより責任事項が曖昧になる。「当然、誰がそもそも何を主張しているのかという疑問が出る」。この透明性の欠如こそ、EUについて多くのEU市民が不満に思う点なのだ、とメルケル首相は批判した。

EUはまた「個々人が実生活で付加価値を感じる」ものにならねばならない。今日の問題は、「経済的成功と社会的市場経済というモデルがもはやこのままの形では機能しない」点にある、とメルケル首相は述べた。首相はこうした状況を踏まえて、EU加盟国が今後も長期的に各国の権限で社会政策を遂行することを疑問視した。「経営の方法はEU内で共通化されたが、社会的施策は依然加盟国の権限に留まっている。社会的施策はいわば競争要因になっているのである。こうしたやり方が良いかどうか、私たちはもう一度一から根本的に議論を行なう必要があろう」と首相は語った。

メルケル首相に対するエトモント・イスラエル財団の「欧州のヴィジョン」賞の授賞理由は「EUの将来の発展への卓越した貢献」による。ルクセンブルクのジャンクロード・ユンケル首相は祝辞の中で、メルケル首相を「大きな加盟国の首相にはこれまで見られなかった、EUのために歩み寄る姿勢」を備えた真の欧州人と讃えた。

エトモント・イスラエル財団は1990年、クリアストリーム社のエトモント・イスラエル会長の退任を記念して同社が設立したものである。クリアストリーム社はドイツ株式取引所の姉妹会社である。

「欧州のヴィジョン」賞の授賞は今回が9回目となる。これまでの受賞者は、ジャック・サンテール元欧州委員長、ベルギーのジャンリュク・デハーネ元首相、ドイツのヘルムート・コール元首相、ルクセンブルクのユンケル首相、欧州中央銀行のヴィム・ダウゼンベルヒ前総裁、ハンガリーのアルパード・ゲンチ元大統領、ベルギーのギー・フェルホフスタット首相、およびハヴィエル・ソラーナEU外交上級代表である。

原題:Merkel bekraeftigt Bedeutung des Begriffs ≪EU-Verfassung≫




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